京都大学大学院医学研究科クリニカルアナトミーラボ

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CAL救急手技研修を終えて 【初期診療・救急科】

2024年3月24日参加

京都大学医学部附属病院 初期診療・救急科 清原亮太

 このたびの研修に際し、ご献体くださった白菊会のみなさま、ご家族のみなさま、また研修を主催していただいたスタッフのみなさまに心より感謝申し上げます。

 今回、私は京都大学クリニカルアナトミーラボの救急手技研修に初めて参加させていただきました。ご遺体を目の前にして、学生の頃の解剖学実習が思い起こされました。医学生になったばかりで知識も乏しいなか始まった解剖学実習で、ご遺体に接し一生懸命に人体構造を学んだことを思い出します。医師となって再びご遺体と接し、あらためてご遺体を提供くださった方々の尊い意思を感じました。

 救急科の医師に必要とされる手技は多岐にわたります。ただその中には、臨床の現場で実際に行う機会が少なく習得に時間のかかるものもあります。そのような手技を習得するために、普段はシミュレーターを使用しますが、実際の人体構造のなかで手技を学ぶという点においてCALの手技研修は非常に貴重な機会となります。救急手技を修練中の身として、今回の研修に参加できることを心待ちにしていました。

 研修のなかでは、頭頸部に始まり、胸腹部、四肢に至る全身における救急手技を学ばせていただきました。実施する頻度の低い手技の修練ができるだけではなく、実施する頻度の高い手技の正確性を高めることができるという点で、有意義な時間となりました。具体的な例として、臨床現場では患者さんの血管を穿刺する機会が多くありますが、普段は触診や超音波検査で確認している血管の太さや走行を肉眼で確認することができました。臨床現場では体表面から内部構造をイメージすることが求められますが、実習を通してそのイメージに必要な体内の解剖について理解が深まったと感じます。

 今回の研修にご協力いただいた方々に感謝の気持ちを忘れず、研修の中で得た知識を日々の臨床に還元していきます。ありがとうございました。