京都大学大学院医学研究科クリニカルアナトミーラボ

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医師として改めて感じる責任 【乳腺外科】

2024年2月8日参加

京都大学医学部附属病院 乳腺外科 福井由紀子

 

 私どもの実習のためにご遺体を提供してくださった白菊会の皆様、ご了承頂きましたご遺族の皆様に心より感謝申し上げます。また、ご多忙のなか実習の手配を頂きました医学部関係者の皆様、誠にありがとうございました。

 私は20242月にClinical Anatomy Lab(CAL)に参加させて頂きました。乳がん手術において腋窩リンパ節郭清(わきの下のリンパ節を取り除く手術)の件数は、検査技術や放射線・薬物療法の進歩により減少しています。しかしながら、進行状況によって腋窩リンパ節郭清が必要な方はおられ、必要な手術スキルでありながら、なかなか学ぶ機会のない術式になっています。今回、CALで腋窩リンパ節郭清を行わせて頂きました。実際の手術と異なり時間をかけて詳細に立体の解剖を確認することができ、随所でのコツが理解できました。これにより注意点が明確となり、手やデバイスの動かし方を見直すことができました。CALの後からはこれまでとは手術の見え方が変わり、文献や手術書を読む以上の非常に貴重な知識、経験となりました。このような機会を頂きましたことに深く感謝申し上げます。

 またCALは、学生の解剖実習以来のご献体で学ばせて頂く機会になりました。医師となって12年経ち、たくさんの方の人生に携わらせて頂いてきました。その中でのご献体との対面は、学生の時とはまた異なる所感を抱くことができました。初心にかえり、目標を確認し、医師という職業の責任の重さを実感することができました。そして改めてご献体を決意くだったこと、ご理解頂いたことに敬意の念を覚えました。人生のこのタイミングでのCALは、私にとって非常に大切な意義深い機会となりました。

 改まして、この度は素晴らしい環境を与えて頂き誠にありがとうございました。白菊会の皆様、ご遺族の皆様に心より御礼申し上げます。お一人お一人の人生に貢献できる医師となれるよう、今後も精進して参ります。