京都大学大学院医学研究科クリニカルアナトミーラボ

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泌尿器科カダバートレーニング 【泌尿器科】

2024年1月21日、2月24日 参加

京都大学医学研究科 泌尿器科 河野仁

我々の実習のためにご遺体を提供してくださった白菊会の皆様、またそのご遺族の方々に心より感謝申し上げます。

2024年1月21日、2月24日に京都大学のClinical Anatomy Lab(CAL)にて開催された泌尿器科Cadaver Workshop を講師として参加致しました。泌尿器科は2019年度よりCALでの献体を利用した手術トレーニング研修を開始しております。手術手技を教育および、臨床解剖学の探究を目的とするもので、テーマは腎摘除・腎部分切除・膀胱全摘・前立腺全摘などの泌尿器科手術全般に渡り、これを毎回いくつかのテーマにしぼり教育・解剖を行わせて頂いております。

主な対象は後期修練医と呼ばれる泌尿器科1-3年目の若手医師を対象としていますが、中堅以上の医師を対象としても、高難易度、新規、頻度の少ない術式のシミュレーションとして参加しており、とても充実した実習を行うことが出来ております。

本年度は2回カダバートレーニングを実施しましたが、1回目は後期修練医を中心に、泌尿器科2-3年目の医師を対象に「腎周囲の膜構造の理解とリンパ節郭清」をテーマで実施しました。左右手の動かし方、協調運動、距離感、層を意識した剥離操作などを行ってもらい、ドライボックスとは違った感覚を体験してもらいました。後半は後腹膜リンパ節郭清として下大静脈周囲の剥離を行ってもらいました。左右の腰静脈の位置や交感神経の走行等、出血がない良い視野で解剖理解を深めることができました。

2回目は泌尿器科スタッフ数名と後期修練医にて「骨盤内の解剖構造の確認・骨盤内リンパ節郭清と気膀胱下前立腺全摘」というテーマで、実習を行いました。前立腺周囲の膜構造理解は実臨床では出血のため膜の認識が簡単ではないことも多いですが、献体であり出血がない状態で解剖構造を確認しながら献体を実際の手術手技(ポート留置、術野の展開、剥離、切開、膀胱尿道吻合の運針等)の修練を行いました。献体であっても層剥離が実施可能であり、郭清の手順や注意点などを確認することが出来ました。

御献体下さった白菊会の皆様とそのご遺族に再度感謝を申し上げます。様々な方の支えがあって今日の医療が成り立っていると思います。ご期待に沿えるよう、初心を忘れずこれからも真摯に医療に向き合っていきたいと思います。