京都大学大学院医学研究科クリニカルアナトミーラボ

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御献体へ深謝―術者の教育において― 【耳鼻咽喉科・頭頸部外科】

2023123

2024222日、223日、224日、32日、33日、32日、33日、316日、317日の10日間 開催

京都大学大学院医学研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 松永麻美

耳鼻咽喉科・頭頸部外科は、耳・鼻・咽喉頭と非常に幅広い部位の手術を行い、患者さんの病気を治すために全力を尽くす役割があります。その使命を全うするため、耳鼻咽喉科に進む道を選択した若手医師は、日々さまざまな手術に携わり、上級医と共に治療を行いながら手術手技を習得していきます。患者さんの病気を治すためには、患者さんのどの部位がどのように、どれくらい患っているのかを確実に理解し手術に臨むことが必須ですが、そのために解剖の理解が非常に重要であることは言うまでもありません。病気を患うと、本来の解剖構造は失われてしまうため、その変化を確実に捉えるためには本来の解剖(ここでは正常解剖とさせていただきます)を熟知し手術に臨むことが必要となります。正常解剖は、医学部生の頃に御献体から学ばせていただくのですが、その頃には学びきれなかったより詳細で、手術手技において重要な解剖構造を学ぶ機会は、学生以降巡ってはきません。

その様な背景がある中、京都大学を含め全国の大学病院での白菊会の皆様のご活動、また御献体くださるご家族や患者さんのご協力により、術者として学ぶべき解剖、手術手技を習得するための会を開催することができました。多くの若手医師が全国より参加され、耳・鼻・咽喉頭それぞれの分野でのエキスパートから指導を受け、熱心に学ばれていました。この様な教育の場を持てることは、参加した若手医師のみならず我々にとっても非常に恵まれていることであり、患者さんやご家族のご意志あっての機会であることを、本寄稿を通じて改めて感じている次第です。術者として、また人として“良き“耳鼻咽喉科・頭頸部外科医を育てていく立場として、患者さんが自らのお身体を最後まで我々医師にたくしてくださったことに深謝すると共に、術者教育を通じて更に確実かつ高い技術を患者さんに提供できるよう今後も努めていきたいと思います。