京都大学大学院医学研究科クリニカルアナトミーラボ

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カダバートレーニングに参加して 【消化管外科】

2024年1月28日,2月17日,3月16日 参加

京都市立病院 総合外科 西川裕太

 今回、私は京都大学消化管外科主催のカダバートレーニングに参加させていただきました。医師6年目、外科医4年目となり、多くの手術を執刀する中で、自分のイメージと実際の人体解剖に幾分かの乖離を覚えるということを少なからず経験しました。安全で正確な手術は正確な解剖把握に基づいて初めて達成されます。そういった乖離を埋めることが手術手技の向上につながると考え、本トレーニングに参加させていただきました。

 食道、胃、大腸の3領域のカダバートレーニングに参加させていただきました。食道領域では、普段見ることの出来ないエキスパートの先生がされる縦隔鏡手術を実際に見学でき、普段胸腔鏡で見ている食道手術との見え方の違いに戸惑いながらも、縦隔鏡特有のピットフォールなどにつき細かく解説頂き非常に勉強になりました。胃領域では、普段執刀することの無い胃全摘特有の脾臓周囲および食道裂孔近傍の手術操作を経験させていただきました。特に、食道裂孔近傍の解剖については自分でも全て把握できていない部分がありましたが、実際に手を動かしてみることで理解を深めることができました。大腸領域では結腸右半切除の前立ちを行ない、普段上級医に行なってもらっている展開を自分で作ることの難しさを痛感したと同時に、良好な視野展開が確実な手術操作に必要不可欠であることを再確認できました。経肛門アプローチについても、特有の鉗子干渉などについて実際に経験することができました。

 3領域全てのトレーニングにおいて日常臨床では経験することができない手術手技を見学あるいは経験することができ、非常に有意義な時間となりました。ご献体くださった方々とご遺族様への深い感謝を心に刻みつつ、少しでも手術手技の向上につながるように日々精進していきます。ありがとうございました。