京都大学大学院医学研究科クリニカルアナトミーラボ

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医師としてご献体から学ぶこと 【産科婦人科】

2024128日参加

京都大学医学部附属病院 産科婦人科 山村聡俊

 京大白菊会の皆様、この度は貴重なご献体をくださりありがとうございました。ご献体くださった方、及びご遺族の方々にも心から感謝を申し上げます。

 私は現在、医師として働き出して4年が経過しました。私達は医師になるにあたって、学生時代に全員必ず解剖学実習を経験してきています。この実習では、ご遺体という存在への恐怖、解剖を進めていけるのかという不安、たくさん学べるという期待、人体の構造への興味、など様々な感情が入り乱れ、なんとも言えない複雑な気持ちでしたが、本で読むだけではイメージしきれなかった数々のことを、実際に手を取って理解することができ、さらに自分たちで時間をかけて解剖することでその重みを感じることができました。ここで得た知識はその後の臨床実習や疾患の勉強を進める際にも、数多くの場面で役立ちました。

 そして、医師として働き出してからは、日々たくさんの手術の現場に参加してきました。以前に解剖実習に参加した頃とは格段に知識も増えた中で、今回こうして解剖の機会をいただけたことは、また違う視点からの新たな学びが多く、大変貴重な時間となりました。普段の手術で扱う生体では確認するのが危険な構造なども、今回のご遺体ではしっかり解剖させていただくことで理解を深めることができ、これらの理解が今後の手術において助けになると感じています。これまで患者さんがお亡くなりになる場面も何度も経験してきたこともあり、お一人おひとりの命の重みやそのご家族の思いなども、その時々で感じてきました。その上で、このようにご献体をしてくださるという決断が決して容易ではなかったことも理解しているつもりです。今回このような機会をいただけたことに改めて心から感謝申し上げるとともに、今後のより良い医療のために日々取り組んで参りたいと思います。この度は貴重な学びの機会を本当にありがとうございました。